JATECTMコース開催の現況と「外傷初期診療ガイドライン」の活用

外傷初期診療ガイドラインを世に送り出して25年、現在、6回の改訂を重ねています。並行して開催してきたJATECコースは2024年3月末で 616回、述べ 19,535名の医師が受講されました。そもそも外傷診療におけるpreventable trauma deathを回避し、質の保証された外傷診療の普及を目指して本書が執筆され、その実効性を確かのものにするために模擬診療をベースにしたJATECコースの受講を推奨してきました。「生理学的評価と蘇生を最優先する」とするJATECのエッセンスは、疾病を含む全ての救急患者に対する救急診療に通用し、現在では救急の診療手順のひな形となっています。
改訂第6版では、新しい知見を取り入れると同時に外傷専門診療ガイドラインJETECとの棲み分けを行い、本書が救急の診療指針であると同時にコース受講の参考書となるよう一層の工夫を図りました。新しい知見は、カテゴリー別にClinical Question (CQ) を設け、それぞれのCQに対するエビデンスを収集して、執筆グループと編集委員とでその内容を精査し、採否を決定しました。初版から積み重ねてきた中核となる記述を維持しつつ、新たなエビデンスを採用しています。
また、JATECコースとの一体感を持たすべく、本書とコース教材の共通化、さらにはプレラーニングの充実を図りました。本書とコース教材との紐付けを行うにあたり、コース受講までの事前学習に重点を置き、そのために本書の充実とコースカリキュラムの簡素化を図っています。その例が本書の随所に見られるQRコードです。QRコードから該当記事に関連する動画や講義を視聴していただき、記述内容を理解しやすくなるよう工夫しています。事前学習を強化したことにより、コースではハンズオンを基本にした意思決定のトレーニングに力点を置いています。

外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 編集委員長
 横田順一朗



2003年3月までの5回はテストコースとして開催、2006年1・2月はコース改訂につき開催しなかった。
2024年3月末現在、コース開催は616回で、受講生の累積総数は19,535人となっている。




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