JATECTMコースの意義と概要

 標準化された「外傷初期診療ガイドライン」を広く普及させるには、啓発活動が必要である。外傷診療には、外科学、脳神経外科学、整形外科学、麻酔科学や集中治療学など様々な分野を包括した知識と技能が要求される。それぞれの専門分野との連携も重要であり、いずれの領域の医師も関与しなければならない。しかし、救急医療の現場では教育より診療を優先しなければならないこと、技術力を必要とする処置が多いことなどから、実地修練には限界がある。このため、単なるセミナーや座学のみでは効果を期待できない。これを補完する意味でシミュレーショントレーニングが必須となる。もちろん出版物としての「外傷初期診療ガイドライン」は最低必要な知識であるが、標準的な医学知識と技能を生かすためには様々な症例を想定した問題解決能力が必要である。そのためには模擬診療やシミュレータによる修練は重要であり、その中で意思決定の資質を向上させることを目的にしている。ガイドラインと一体化して展開していることがシミュレーショントレーニングであるJATECTMコースの最大の特徴である。

 JATECTMコースは外傷患者を診察する機会のある全ての医師を対象とする研修コースである。JATECTMコースは、従来の講演やセミナーとは異なり、ケースシナリオや実技指導を中心とし、少人数を対象に行う体験学習である。JATECTMコースでは日常診療で遭遇する様々なケースシナリオが用意され、臨床現場を想定して外傷患者の診察と処置を一人一人が実践できる。成書のみでは得難い、迅速な判断能力と実践的な技術習得が可能である。そのために、「外傷初期診療ガイドライン」を熟読し、その中に紐づけされている視覚教材を視聴して、コース受講までに事前学習するこが必須である。その上で、コース開催1週前に、知識の整理を目的としたウエブでの講義(表:JATECウエブセクション)を受けなければならない。対面参加でのコースは1日であるが、習得した知識をもとに、技能実習・診療実習ののち、模擬診療をこなし、最後に学習効果を判定するためにOSCE(客観的臨床能力評価試験)を受けていただく(表:JATEC対面セクション)。

      【JATECコースカリキュラム】

      1日目:ウェブセクション


      2日目:対面セクション



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